コンビニ国の国籍は6歳以上の者に与えられるが、その資格を得るためには年令に応じたペーパーおよび実技試験に合格しなければならない。国籍は所与のものではない、コンビニ国の領域内に生まれたからといって自動的に与えられることはないのだ。
なおかつ、国籍は一定の年限ごとに更新しなければならない。これを怠ると、一旦国籍が剥奪され、再取得するためには改めて試験を受け合格しなければならない。僕は最近、65歳を迎えるための更新手続きをしようと入国管理事務所を訪ねた。6歳、12歳、15歳、18歳まではみな洩れなく手続きする国民皆更新制だ。
国籍取得に際してもっとも重視されるのは、コンビニ国に対する「従順さ」である。忠実さではない、疑問を抱くことなく「従順」であることが最も重要な要件なのだ。機械のように、あるいはロボットのように行動する、コンビニ国の国籍保有者たちに共通する性向はこうして制度的に再生産され維持されている。
僕は6歳からずっとコンビニ国の国籍を保有していたが、20歳と60歳のとき、二度に及んで更新手続きを怠り、国籍を喪失した。除籍の烙印を二度押された落伍者なのだ。