今夏88歳になる母が左あしのひざに痛みを訴えるようになり、ほとんど家にこもっているというので、母の日に車いすを贈ることにした。母自身は必要ないというが、まわりの者がこぞって勧めるので、受け取らざるを得なくなったのだ。

「まだ歩けるわよ」「自転車だって乗ってるのに」「車いすなんかに乗ったら、よけい脚が弱くなるじゃない」「人にものをあげるのが好きだから、あげちゃうわ」「売ってもいいわね」「体重は60kしかないわよ(実際に測ったら70k超)」「わたしは脚が長いのよ」「婆婆くさいのはいやよ」話しが延々と続いた。楽しい時間だった。

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1週間後に車いすを届け、外出しようと誘ったら、何の反発もなく、化粧して乗ってくれた。さほど感激したふうでもなかったが、厭だとは言わなかった。いったい、前回のやり取りは何だったのだろう。

1時間ほど車いすを押すと、かなりの運動になった。近くのけやき並木が新緑に覆われているのを喜ぶ母の姿を見るのは嬉しかった。5月の風を喜ぶ素直さがいとおしくて、夏用の帽子を買ってあげた。