母が僕に教えてくれたなかで最大のものは、人のために行動することの尊さだと思う。仏教的には菩薩界の働きというのだろうか。キリスト教では天使の働きがそれだと、友人は言った。

だが、「人のために」何かするのは、実はさほど簡単なことではない。よく考えると、何が「人のため」になるかを判断する困難があるからだ。相手のためによかれと思って行なったことが、相手のためにならないことが多々あるからだ。

毎週末、母を車イスに乗せていろいろな場所に出かけることにしている。この行為は母のためだと考えているのだが、はたして、母が喜んでいるかどうかはわからない。僕がそうしたいからかもしれない。