4月27日(金) 夜8時過ぎ、母が救急車で搬送され緊急入院した。連絡を受け、10時過ぎに病院に行った。
深夜12時半ごろ、当直医から、検査の結果、肝臓と胆嚢の機能低下と腸に穴があいている可能性があるという説明があった。その後、病室に移動したときは顔色もよく笑うこともできた。左右の腕の血管から点滴を行っていた。
4月28日(土) 夜7時ごろ訪ねた。執刀医から、開腹手術したところ、予想された穴は発見されず、腸内洗浄のみ行ったと説明があった。
ふつうの人よりも生命力が強く、むかし開腹手術した患部を守ろうとして、ほかの組織が集まり、腸が密林のようになっていたという。このため、前夜の検査で予想された穴を探すのに長時間を要し、結局は発見できなかったと聞かされた。
術後、ICUに移動したあと一度人工呼吸器を外したら呼吸が止まったため、すぐに呼吸器の管を気管支に挿入しなおしたという。抗生剤の注入と点滴を継続したが、腕の血管から十分に点滴を行えないため、夕刻に急遽首の静脈にカテーテルを挿入したとのことだった。
4月29日(日) 午前11時ごろ訪ねると、幸い母は眠りからさめていた。15分ほど目を見ながら話したが、母の口には呼吸器の管がはめ込まれ、声を発することができない。僕と看護士の話に首を動かすだけなのが痛々しい。
短い時間に何度も右手を動かして呼吸器管の痛みを訴えるようだったので、看護士の判断で催眠剤の濃度を増したところ、5分も経たないで眠りに落ちた。機器を着けられ必死に闘っている母を見て、かわいそうに思った。異様にむくんだ手を、そっと握っているしかない。
4月30日(月) 夕方訪ねた。ときどき眼をあけるが、瞳の焦点は定まっていない。きのうより体がむくんだように見える。首のあたりがカエルのようにふくらんでいる。
5月1日(火) 夕方訪ねると、きのうまで着けていた人工呼吸器の管が外され、かすれ声ながら会話することができた。体のむくみも少し引いたようだった。二日以内に一般病室に移れる見通しだという。
5月2日(水) 午前中に一般病室に移動したが、きょう一日はナースステーションの一角にベッドが置かれていた。両腕の管が外され、周囲にあった機器類がなくなったせいか、すがすがしい表情をしているように見えた。