玄東實さんが語る(3) 日韓交流三千万人時代へ

日韓交流3000万人は可能

–: 韓国の視点、日本の視点と歴史は見る人の角度で評価が分かれると思います。在日韓国人として両国国民の感情を共有されていると思うのですが、自身の考えを語る難しさを感じるときはありますか。

玄: 歴史を語る際は、共通項を見付ける難しさはあります。しかし、航空業界で日韓をつなぐ仕事に40年以上取り組む中で、自分の考えを発信する上でのもどかしさはありません。むしろ、日本と韓国双方の仲間が力を合わせて実現させたものは数知れません。

先ほど、両国の交流人口は1000万人を超えたと紹介しましたが、その事実自体が日韓の歴史問題は障壁ではないという証左でしょう。日本が嫌いなら、韓国人は旅行に来ないはずです。その逆も同様です。どうして両国を行き来するかと言えば、やはり“楽しいから”に尽きるでしょう。政府の強制で旅行を推奨しているのでなく、韓国人も日本人も自発的に双方を訪問し、お金を使っているのです。これは航空業界に身を置いたからこそ実感できます。

ちなみに、2018年に訪日した韓国人は約754万人で、韓国人口の約15%に相当します。日本で言えば、約2000万人近い観光客が韓国に遊びに来たようなものです。交流が積み重なり、いつしか日韓の交流が3000万人に達する日が来れば、両国は何でも語り合えるような真の友好関係を築ける間柄になると信じています。

コロナ禍で観光交流は停止せざるを得ない状況ですが、交流再開後に向けた手立てを両国政府は知恵を絞るべきです。日韓間は格安航空会社が多く就航したこともあって地方都市からも行き来しやすくなりました。日本と韓国の間に関しては、欧州連合(EU)のように入国審査も廃止するような大胆な観光政策が行われると、3000万人交流も決して夢ではないと思います。

–: 一方、コロナ禍以前から日韓の経済交流は停滞しつつあるようです。

玄: 政府間対話は途絶えた状況かもしれませんが、経済交流は続いています。お互いが協力し合うメリットを、日韓双方の企業人が熟知しているからです。例えば、日韓・韓日経済協会の交流事業はコロナ禍でも切れ目なしで連携を続けています。

私も知って驚いたのですが、日韓の企業が第三国で共同実施している経済プロジェクトは累計で約26兆5000億円に達しています。日韓の文化の近さが、ここでも効果を発揮しているように思えてなりません。

ちなみに、日本経済の精神は韓国企業にも受け継がれ、世界を代表するIT企業へ成長したサムスン・グループも創業当初は日本から刺激を得ていました。サムスン創業者の()秉喆(ビョンチョル)さんは、毎年末の1ヵ月間を日本で過ごし、日本社会を視察することが慣例でした。日本で見聞きした内容を「東京構想」名付けて事業に生かしたそうです。

政治家像を変えた草川昭三氏との出会い

–: 故草川(くさかわ)昭三(しょうぞう)顧問との交流について教えてもらえますか。

玄: アシアナ航空の名古屋支店長時代のころです。1995年の支店移転の記念行事として、衆院議員だった草川さんに駄目元でテープカットをお願いしたのですが、激務の合間を縫って駆け付けてくださいました。

草川さんが在日外国人に対する差別撤廃や、法的地位向上に全力で取り組んでいたことは存じ上げていました。特に、第2次大戦敗戦時にサハリンに残された残留韓国人の帰国支援は有名でした。草川さんは1982年の衆院予算委員会で戦時中、日本人として炭鉱などで労働していた韓(朝鮮)半島出身者らは望郷の念を抱いているにもかかわらず、帰国の手段がないと訴え、鈴木善幸首相から「粘り強く、あらゆる観点から努力する」との答弁を引き出しています。草川さんの行動は、日韓友好の基礎づくりそのものでした。

東京でマーケティング部長をしていた時ですが、大きな障壁にぶつかり、草川さんに相談したことがありました。「日韓の親善友好にプラスになるのか、ならないのか」と草川さんがお聞きになるので、私は「両国民が活発に行き来できるようになることは、日韓の友好親善に必ずつながります」と説明すると、一言だけ「わかった」と。

草川さんの判断基準はいつも決まっていて、社会全体にとってプラスになるのかならないのか、ただそれだけでじた。

今でも申し訳ないのですが、私の無理難題な相談は、草川さんの政治家としての評価につながるような内容ではまったくありませんでした。それでも草川さんは日韓のために動き、実現してくれました。本当に感謝しています。

草川さんは、日本人政治家に対する私のイメージを大きく変えました。そして、草川さんの印象は、そのまま公明党の印象と重なっています。政治家は利害関係で動くのだと思っていましたが、草川さんはまったくそうではありませんでした。

そして、草川さんに特徴的だったのは「チーム草川」とでも言うべき周囲のスタッフが一致団結、異体同心で草川さんを支えていたことです。秘書や党職員が草川さんを信頼して動き、

また草川さんも周囲を信頼し、全員で知恵を絞っていることがよくわかりました。それだけに、アドバイスの中身も重層的で深みがありました。また、各省庁の官僚からも、草川さんは信頼できる政治家だという雰囲気がよく伝わってきました。

まさに、公明党が掲げる中道政治の役割を体現するような方でした。草川さんに続く政治家が現れることを、心から望みたいですね。

–: 日韓関係は困難な状況下に置かれていますが、公明党にどのような役割を期待しますか。

玄: 韓国側の政治家の視点から捉えても、与党である公明党が日本の政治の動揺を抑えてくれている安心感はあると思います。公明党には、平和の党として今こそ日韓友好の道を切り開いてほしいと願っています。確かに、日韓関係は大きく冷え込んでいると言えますが、きっかけさえあれば扉は再び開くと信じています。草川さんも道なき道を切り開く信念の政治家でした。公明党も同じでしょう。

世界をみても、日本ほど政治が安定している民主主義国家は少ないと思います。日韓両国が手を携えて、東アジアの安定に貢献してくれることを心から望んでいます。

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